河野啓『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場 』

読了。栗城史多という人がいることを知ったのは、かつて受けた会社のリーダー研修か何かの際に、社外セミナーの講師の人がリーダーシップについて話をする際に、引き合いに出されていたことによる。すでに凍傷で両手の指9本を失った後の話だった。スポンサーを得るたびに、あきらめずしつこく企業の重役に面会を挑む話だったと思う。「そんな人もいるんだ」と思うくらいに興味を持った。

そのうち、ネットで叩かれる記事を読むようになり、2018年に、エベレスト登山中に滑落で亡くなったというニュースを聞いた。

この人の生きざまというか、なぜエベレストに何度も挑戦するのか(しかもエベレストに登れるだけの実力がないことはいろんな人が指摘している)にずっと興味があり、やっとこの本を読んだ。読んだ後も、この人は山が好きだったのか、なぜエベレストに何度も挑戦したのはよくわからないものの、ただ

実像と虚構の整合性が、もう自分の中で取れなくなっていたんだと思います。

という、山岳ガイドの森下亮太郎さんのコメントがしっくりと胸に残りました。