大沼正則「科学史を考える」(科学全書22)
読了。史的唯物論的科学史(マルクス主義科学史)とはどんなものなのかに興味を持ち、その大家に大沼正則(1925-2001)という人がいたことを知った。その晩年の著作。ネットオークションで古本を見つけて購入。晩年の一般向けの著作だからかと思うが、研究者としての思索を概説する教養本としては良い本だと思う。
本の構成は次の6章にわたる。カッコ内は私の理解。
- 原点から原典へ (史的唯物論的科学史の基礎)
- 近代科学の成立と発展 (16世紀科学革命期の史的唯物論的な見方)
- 技術史の基礎観点 (技術史における史的唯物論的な観点)
- 独占資本主義と技術進歩 (資本主義的大量生産システムにおける同観点)
- 独占・技術進歩・戦争 (4. の続き。戦争との結びつき)
- 戦後日本の科学・技術思想 (その時の社会状況との関連、反科学思想などの概説)
著者の主張する史的唯物論的科学史(科学技術の発展)は、基本的な枠組みとして次の三層構造をもつと理解するのがよさそう。
- 生産力(技術・労働・自然資源などの組み合わせ)が歴史発展の基礎。
- 生産関係(誰が生産手段を所有し、誰が労働するか)が、科学・技術の方向と利用形態を規定。
- 上部構造(法、政治、文化、宗教、哲学など)は、土台(経済的基盤)に規定されつつ、逆に土台にも影響する。
この本の第1章の最後に、著者は次のようにまとめている。
自然科学は技術を通して客観的自然を認識し、他方技術はその所有関係によって経済的土台=生産関係につらなり、それに基本的に規定された上部構造(イデオロギーの諸形態及び諸制度)が自然科学と相互に関連する。
科学コミュニティに閉じた科学史ではなく、技術や社会状況との関連を踏まえた科学技術史としてとらえるため、現在のSTS(科学技術社会論)に通じるところがある。
ChatGPT(つい最近5がリリースされた)に、このフレームワークを踏まえて現代のAI技術について問うたところ、以下の回答だったので現代でも使える思考の枠組みだとおもった。
ChatGPT5による史的唯物論的AI現在AI技術の発展
現代AIの発展
- 科学的基盤
- 統計学・機械学習理論・ニューラルネットワーク研究などが進展。
- 大量データ処理やGPU計算などの情報科学的・数学的成果が土台。
- 技術的媒介
- 生産関係との結びつき
- 上部構造との相互作用
史的唯物論的解釈
AIは巨大資本と国家戦略に深く組み込まれた技術であり、その発展方向は生産手段の所有構造に大きく規定される。 同時に、その成果は監視社会化や労働構造変化といった上部構造の変容を促す。
ScanSnap S1500フィード/排出ローラーチューブ交換
一か月ほど前に、久しぶりにScanSnap S1500で書類をスキャンしようとすると、いきなり紙づまり発生。なにかローラーにくっついている。 排出ローラー用チューブがべとべとして書類にくっつき巻き込んでいた。 ネットで検索すると、長年の間にチューブのゴムが加水分解して使えなくなるらしい。
S1500を10年以上使っているので、故障として新しいのを買わないといけないか、と思っていたところ、どうもチューブだけ自前で交換ができそうとのこと。
Amazonで、以下のチューブを購入。 日本製 シリコンチューブ SR1554 食品衛生法適合品 内径6mm × 外径12mm 1m単位カット販売 切り売り https://www.amazon.co.jp/dp/B01BTLMGPK/
無事、交換できました。




未来を考えるための科学史・技術史入門
JRA種牡馬リーディングチャート(2017-2022)
PandasとMatplotlibの勉強がてら、最近の種牡馬リーディングの推移が分かるチャートをJupyterで作ってみた。

ソースはこちら github.com
河野啓『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場 』
読了。栗城史多という人がいることを知ったのは、かつて受けた会社のリーダー研修か何かの際に、社外セミナーの講師の人がリーダーシップについて話をする際に、引き合いに出されていたことによる。すでに凍傷で両手の指9本を失った後の話だった。スポンサーを得るたびに、あきらめずしつこく企業の重役に面会を挑む話だったと思う。「そんな人もいるんだ」と思うくらいに興味を持った。
そのうち、ネットで叩かれる記事を読むようになり、2018年に、エベレスト登山中に滑落で亡くなったというニュースを聞いた。
この人の生きざまというか、なぜエベレストに何度も挑戦するのか(しかもエベレストに登れるだけの実力がないことはいろんな人が指摘している)にずっと興味があり、やっとこの本を読んだ。読んだ後も、この人は山が好きだったのか、なぜエベレストに何度も挑戦したのはよくわからないものの、ただ
実像と虚構の整合性が、もう自分の中で取れなくなっていたんだと思います。
という、山岳ガイドの森下亮太郎さんのコメントがしっくりと胸に残りました。
Windows10でPyStanを動かす
Windows 10上でPyStanを動作させようとして、手こずったので、メモ。
- 基本的には、公式のPyStan on Windowsの手順のとおりに環境構築を進めるのがミソ。
- 最初にcondaで仮想環境を作成するが、Python 3.8環境で動作した。最初Python 3.10環境で動作させようとして、PyStanのpipインストールに失敗。Python 3.9だと、StanModelでのコンパイルでエラーが発生。Python 3.8環境にして、コンパイルも通った。
(base) D:\Users\xxx>conda create -n pystan python=3.8
conda install libpython m2w64-toolchain -c msys2
libpythonのインストール後に、cコンパイラの指定をするdistutils.cfgファイルを、condaの仮想環境配下\pystan\Lib\distutilsから、
>>> import distutils >>> print(distutils.__file__)
で調べた先のフォルダにコピーする必要がある。自分の環境では、condaの仮想環境配下\pystan\Lib\site-packages\setuptools\_distutilsだった。これをしないと、mingw-w64コンパイラを使ってくれず、自分のようにMSVCをインストールしている環境だとMSVCコンパイラを使うためにコンパイルでこける。
- 次のリンクのフォーラムのコメントがヒントになった。



