ビッグサイエンスと科学技術予算

昨今考えていること・いろんなところで読んだことを、つれづれなるままに。

  • 「ここは事業の重要性ではなく、優先度、不要不急かどうかを判断する場」…この論理だと、素粒子・高エネルギー実験、天文・宇宙物理系観測実験はことごとく存在そのものが無駄と判定されるよなぁ。一般人の普通の生活に必要ないもの。
  • 昨年聴きにいったNINSの一般人向けシンポジウムで、国立天文台の観山正見台長が、「官僚の方と予算折衝をすると、『天文学の進歩が1年2年遅れても、宇宙の年齢137億年とくれべるとどうってことないじゃないですか。』なんて趣旨のことを言われる」と、おっしゃってた。
  • 民主党内藤正光参議院議員(現総務副大臣)の2008年7月11日のブログ 我が国の科学技術行政について。「真に学術的見地から本当にリニアコライダーを日本に誘致しなければ、今後の科学立国としての我が国のポジションが危うくなるのか?を考えていきたいと思います。」
  • 東大兼理研の牧島一夫教授のお願いメールをいろんなところで目にするようになった。こことか、こことか、こことか。
  • いわゆるビッグサイエンス(実験や観測のために数百億円とか莫大な費用が必要な科学)は、興味がない人にとっては八ッ場ダムとかの公共工事と同じで直接自分自身へのリターンがなく、税金を導入する意味がないと判断されてしまう。それでも推進が必要なんだ!という論理が必要。
  • 人間である以上、自分達の生きている世界(空間・時間・物質)を理解しようとすることは使命だと思うけどね。「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」(byゴーギャン)。「なんのために 生まれて、なにをして 生きるのか、こたえられない なんて、そんなのは いやだ!」(byやなせたかし) 「迷わず行けよ、行けばわかるさ」(by一休禅師、アントニオ猪木)
  • 日本は経済大国なんだから、国際貢献のためにも、予算の何パーセントかを科学の発展に当ててもよいと思う。(by小柴昌俊先生の受け売り)
  • とはいいつつも、かつてアメリカで巨大加速器SSCが政治判断で建設中止となったように、いずれどこの国でも政治判断で科学技術予算が削減されることもある(イギリスは既に削減されているんだっけ?)。科学の発展のマイルストーン、および費用拠出に関する国際的なコンセンサスがあってしかるべき。
  • 少なくとも、来年度予算が事業仕分けどおりとなった場合、現実問題として研究者の雇用問題に発展することは確か。その場合、日本の科学技術が後退することも確か。日本は一旦研究者でなくなった人が再び研究者となる仕組みが整ってないから。
  • 個人的には、ヒッグス粒子が見つかるかどうかとか、SUSY粒子が見つかるかとか、ニュートリノマヨラナ粒子かどうかとか、Bモード偏向の強さとか、最高エネルギー宇宙線の起源とか、まだまだわからないことがいっぱいあるので、わかってから死にたいです。